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2009年7月 司法書士の『ハッピーリタイア』研修のご報告

 株式会社コンサルティングファーム 代表取締役 山口毅は、7月10日宮城県司法書士会仙台中央支部研修会において、司法書士の「ハッピーリタイア」をテーマとした講演を行いました。

 司法書士は税理士とともに高齢化が進んでいる業界ですが、辞めたくてもなかなか辞められないというジレンマが存在します。しかし、司法書士のおかれている状況や業界の動向を考えれば、今後、引退・廃業が増えてくることは間違いありません。いつかは来る引退ですからできる限りハッピーなリタイアを実現していただくために、「ハッピーリタイアとは何か」「そのために必要なのはどのようなことか」を考えていただく契機のご提供を目的として、話をさせていただきました。


講師 弊社代表 山口 毅セミナーの様子

 山口は、司法書士のみならず多くの士業事務所において、引退時に克服すべき共通した課題があると考えています。この課題が解決されない限り、経営者はなかなか引退の決断を下すことができずに事務所を続けてしまい、最後は健康的な問題を発端として、課題を残したまま辞めなければならないと指摘しました。

 この課題は、まとめると下記の3点になります。
    1.顧客や地域社会への責任
    2.従業員の雇用の維持
    3.引退する経営者と家族の経済的保証

 ですからハッピーリタイアを実現するためには、上記3点を全て解決した上で、自身の代で事業を廃業するか、誰かに事業を承継してもらうかを選択し、実行に移していかなければならないのです。しかし、司法書士の場合、個人事業というのがほとんどですから、子供などの親族が事務所を承継するケースを除くと、他の承継事例はあまりないというのが現状ではないでしょうか。

 また山口は、司法書士の事業承継を考える上では、司法書士業界の動向を正確に把握しておくことが必要であるという認識を持っています。
 最近のことでは、司法書士数の増加や弁護士数の急増、弁護士との職域の問題、法人化の影響、広告や報酬自由化の影響、電子申請などの推進、業務範囲の拡大などになるかと思います。承継には準備段階も含めて時間がかかりますので、5年後、10年後のことを考えれば、業界の動向を掴んでおくことは当然であり、その時にどのような事業、事務所を引き継いでもらうのかを考えておく必要があります。
 承継に向けて準備を進める場合、「何を引き継いでもらうのか」「誰に引き継いでもらうのか」「どのように引き継いでもらうのか」を決めるか、あるいは、想定しておかなければなりません。
 特に顧客を引き継いでもらう場合、個人事業では勝手に顧客情報を渡すことはできませんから、時間をかけて徐々に引き継ぐことが前提となります。従業員に関しては承継者との相性などにも配慮し、承継後の事務所にとってどのような役割を果たせるのか期待できるのかなどを当事者も含めて十分に話し合っておくことが必要です。また、屋号や事務所の場所そのものも引き継ぐのか、備品やリース契約、負債などについても考えておかなければなりません。当然、業法や税法という側面でのチェックやシミュレーションも不可欠です。
 さらに言えば、営業の仕組みや仕方についても見直しを考えるべきです。今まで看板だった所長が引退するわけですから、所長個人の付き合いでなく事務所の看板で仕事が依頼されるように変えていくことが必要になるはずです。そして、引退する経営者は新しい事務所に口を出さないようにご自身で区切りをつけておくことも、承継をスムーズに進めるためには十分注意すべき点となります。
 最後に山口は、承継のケーススタディとして「承継の準備が全くない場合」「2年以内の承継」「5年後の承継」について解説し、「M&Aの可能性」についても言及しました。

セミナーの様子セミナーの様子

 司法書士業界では司法書士の増加や競争の激化により、今後、引退・廃業を考える方が増えてくるものと予想されます。しかし、ハッピーリタイアを実現するためには十分な準備期間が必要です。早く準備に着手すればすれほど、ハッピーリタイアを実現できる可能性は高くなります。
 わたしどもは、業務を長年続けてこられた司法書士の方が、顧客に迷惑がかかるような事態に陥ったり従業員が混乱したりすることなく、ハッピーにリタイアできるような支援や情報提供を行いたいと考えています。
 今回、宮城県の司法書士会仙台中支部さまより研修の機会をいただけたことは、われわれとしても大きな喜びであり、当日、お忙しいなか、ご参加いただきましたみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。この研修がいつかは来る引退についてお考えいただく一助になれば幸いです。ご参加ありがとうございました。