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第1章-3 規制緩和に関する動き

 本来、憲法により職業選択の自由が保障されているなかで、国家資格がなければその職業を営むことができない「士業」は、規制とともにさまざまな聖域が存在していました。しかし、平成13(2001)年3月30日に閣議決定された「規制改革推進3ヵ年計画」において、当該業務サービスに係る競争の活性化等の観点から、各省庁・各団体において制度の在り方等の見直しが進められることになりました。各団体に存在した自主規制に関して、公正取引委員会は、資格者団体による自主規制の見直しや、見直し後の適正な活動に資するため、資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方を取りまとめ公表しました。(資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方 平成十三年十月二十四日 公正取引委員会。以下「考え方」とします。)

 「報酬に関して」「広告に関する活動について」「顧客に関する活動について」の3点について、「考え方」により、どのように規制が緩和されたのかをみてみましょう。

広告の規制緩和、情報革命

(1)都市部で進む広告への依存

 「考え方」のなかでは広告に関連して『資格者団体については、法律上「会員の品位の保持に関する規定」が会則記載事項として掲げられており、これを主な根拠として、資格者団体は、会則等において、広告に関する自主規制を行っている。資格者団体の行う広告に関する規制が法律上一定の根拠を有するとしても、会員の事業活動を過度に制限するような場合には独占禁止法上問題となるおそれがあり、その内容は、需要者の正しい選択を容易にするために合理的に必要とされる範囲内のものであって、会員間で不当に差別的でないものとすべきである。』としています。

 司法書士倫理では、16条(広告宣伝)で「司法書士は、不当な目的を意図し、又は品位を損なうおそれのある広告宣伝を行ってはならない」と規定されています。しかし、その具体的運用については各司法書士会によって対応が異なっているようです。
 ただ、私が合格した昭和63(1988)年当時とくらべ、明らかに広く「広告」が許容されていることは間違いありません。そのひとつは、地下鉄や電車などでよく目にするようになった広告です。地域によって普及や許容度合いは異なるのでしょうが、都市部では広く行われています。そのほか新聞広告、ラジオ、テレビなどのメディアを使った広告、ポスティングチラシなど広告方法も多様になってきています。

(2)インターネットの活用が必須条件に

 インターネットの普及と広告規制緩和により司法書士事務所でも広告手段としてインターネットを広く利用するようになってきました。
 ホームページを作って事務所のサービスをネット上に開示し、あわせてYahoo!リスティング広告やGoogleアドワーズに代表される「サーチエンジン対応のオークション型テキスト広告」を使って、クライアントをホームページに誘導します。たとえば「債務整理」というキーワードで検索すると、スポンサーサイトとして表示されて、事務所のホームページへ誘導する仕組みです。司法書士のみならず、多くの士業事務所がこの仕組みを利用しています。

報酬の自由化

 日本司法書士会連合会は、平成10(1998)年に現行の報酬規定があくまでも基準であることを明確にする趣旨から,報酬規定の標題等を改め、報酬の減額を禁じている条項を削除する等、会則基準の改正を行いました。それにならって各司法書士会においても同様の改正が行われたようです。

顧客に関する活動について

 顧客に関する活動とは、顧客を獲得するための活動(営業活動)のことです。 私が開業した平成4(1992)年当時、どこでどのような規制があったかは定かではありませんが、うっすらとした記憶では「すでに司法書士が取引をしている銀行に営業に行ってはダメだよ」といわれ、「それでは新規開業した人はどのようにして仕事の依頼を受けるのか」と不思議に思ったことを覚えています。

 「考え方」のなかにも、例えば「A資格者団体は、会員間で顧客の取合いが起こるのを防止するため、倫理に関する規則において、会員が面識のない者に対する誘致行為を行うことを一律に禁止するとともに、会員が業務の委嘱を受けようとする場合に当該委嘱者と取引している前任の資格者がいるときは、必ず前任者の了解を得なければならないとした。」といった事例を出して、会則等において顧客の誘致等に関して制限することは独占禁止法上問題があると明示しています。

 しかし一方で、「資格者団体の行う顧客に関する規制が、他の会員をひぼう・中傷すること、正常な商慣習に照らして不当な金品等の提供や供応を行うこと等の不公正な競争手段による顧客の誘致を禁止するなど公正な競争秩序を維持するためのものである場合は、原則として独占禁止法上問題とはならない。ただし、不公正な競争手段による顧客の誘致を禁止するなどの名目であっても、その運用において、会員による顧客獲得のための活動を広範に制限するものとならないよう注意する必要がある」としているので、どのような行為までが許容されるかについては個々の事案ごとに判断が必要ということになります。

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2011年9月14日掲載


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