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司法書士もAIに取って代わられるのか

 先日、弊社が主催しているセミナーにアメリカで米国公認会計士として活躍されている方をお招きし「~A.I.やデジタル革命は専門職をどう変えていくのか~『アメリカから見る日本の士業の将来像』」と題して講演をしていただきました。
 このテーマを企画した背景には、人口知能(AI)によって、知的労働力はどこまで置き換えられるのか、特に日本の士業が行っている業務への影響はどうなのかを知りたかったからです。

 

日本の労働人口の約半分がAI(人工知能)に置き換え可能

 野村総研は10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、人工知能やロボット等に代替することが可能との推計結果を発表しています(2015年12月)。アメリカでは47%、英国では35%の労働人口が代替可能とか。
 最近、テクノロジーの進化に伴いなくなる仕事を特集する記事をよく目にするようになってきていますがやはりショッキングなデータです。日本は人口の減少と高齢化、労働人口の減少が課題ではありますが10~20年後に約49%の仕事がなくなっていたとすると、その仕事にたずさわっていた人はどうなるのでしょうか。
 アメリカでは新大統領が工場を国外に移転させようとする企業にツイッターなどを使って圧力をかけています。それを受けて急遽、海外での新規工場の建設計画を見直す企業もでています。しかしアナリストによればアメリカの製造現場で失われている仕事の多くは工場の国外移転によるものではなく、製造ラインが機械化されたことによる割合の方が多いそうです。

 WIREDによればアメリカの法律事務所幹部を対象とした調査において「AIが10年以内に新任弁護士に取って代わる」という回答が35%、「パラリーガルが10年以内に不要となる」という回答が半数を占めていたそうです。実際、米国では破産法に特化したAIロボット「ROSS」が登場し、大手法律事務所と契約を締結したというニュースも報じられています。

 

 司法書士という仕事はAI(人工知能)の影響を受けるか、受けないのか

 それでは司法書士はどうなのでしょうか。アメリカには司法書士という資格自体はありませんのでセミナーの中で触れられることはありませんでした。弁護士、税理士、会計士業界への現状から見ると司法書士の行っている業務によって影響はかなり違うのかなという印象があります。例えば、過払い金請求や債務整理などであればAI的なテクノロジーを使っていくことで労働力を相当程度、削減することは可能かと考えられます。ただ最近、増えてきている成年後見的な業務においてはAIの果たす役割はかなり限定されるかと思います。

 登記業務はどうでしょうか。
 登記業務は対象物件の確認、本人の確認、意思の確認、必要書類の収集、申請書の作成・申請という業務になります。対象物件と本人の確認では照合する基データを何にするかさえ決まれば人間が行うより早く正確に確認できるようになると思います。必要書類の収集、申請書の作成・申請に関してみると自動化することはそれほど難易度が高いとは考えられません。司法書士の業務支援ソフトを提供している会社がすでに開発を始めているのかもしれません。申請書類作成支援ソフトなんかはかなり進んできているように思います。

 ただ登記業務については現行法規上、AIだけで司法書士が関与せずに行うことができませんので、司法書士本来の仕事がなくなることはありません。AIによって影響を受けるのは現在、補助者の方々が行っている業務ではないでしょうか。もともと司法書士事務所の補助者の役割としては法務局へ申請書類を届けることと申請書類の作成でしたがオンラインで登記申請ができるようになってから補助者の仕事は減りました。書類作成が自動化されると補助者の方の業務はさらに減るかもしれません。

 それほどと遠くないうちに司法書士事務所にもAI化や自動化は進み補助者業務を中心に置き換えられていくでしょう。あとはそのスピードとそうなったときに司法書士資格者や司法書士事務所に何が求められてくるかということではないでしょうか。


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